昨年のツアー「変身」の終了と同時に告知された今年のツアー「空想」。
今回は地元広島の講演を引き当てることができました。
無事に就職活動も終えた私は、今回もまた、母と妹と共に参戦してきたのでした。
【前回の記事はコチラ】
【感想】米津玄師 2022 TOUR / 変身 神戸公演1日目 - 我が日常の裏・表
会場チェックイン時に表示された座席はまさかのアリーナ。
開演時刻を回って会場が消灯。シンプルなSEと紺色のスポットライトがステージを照らしたところにバンドメンバーの4人が登場。それからステージ奥の暗闇から白いチョークで描かれた銀河鉄道が走ってくるアニメーションが流れ、米津玄師が姿を見せました。「変身」ではNIGIchanがセダンを運転して地下駐車場に入ってくるドラマパートがありましたが、それと比べると非常にシンプル。
そのまま息を尽かせぬように1曲目に演奏されたのは<カムパネルラ>。「STRAY SHEEP」リリースツアーも兼ねていた「変身」では演奏されなかった曲の1つです。
神戸と比べてステージがコンパクトなのか、今回の公演ではバンドメンバーの方々は終始ステージ上で生演奏してくれるところを見せてくれました。さらに、バンドメンバーには今回からキーボードとして宮川純さんが加入。おかげで今回はキーボードのアレンジが目立つ楽曲が中心にセットリストに選出されていました。
ステージ背後にそびえる、暗幕に覆われた足場状の構造物は今回も健在。後々米津やダンサーが登るわ、火を噴くわ、アニメーションが投影されるわ、もうとにかくすごかったです。
次いで2曲目<迷える羊>。背景にはスチームパンクな映像(※後日YouTubeにて一部公開。「迷える羊」歌唱カット背景の映像)が投影されていました。「変身」でも聴けた曲ですが演出が一新。バンドメンバーが地下に潜らずステージ上の見える位置で生演奏をしてくれたのが見どころだったように思います。特にベースの須藤優さん。前半はマニピュレータだかシンセベースだかを操作していましたが、終盤エレキベースを肩に提げ、ドラムの堀正輝さんと音源以上に激しいアウトロを聴かせてくれました。
こうしてステージ上の演出についても触れた文章を書いていますが、今回は総じて「音源が欲しくなる」ライブだったように思います。ウォークマンに入れて日常的に聴きたい完成度でした。
さて、3曲目。気の抜けたブラスの音色とビビッドなアニメーション。会場から歓声が上がる<感電>。ダンサーの方々もセンターステージまでの通路まで出てきて大盛り上がりでした。
3曲を終えて短めのMC。声出しが解禁されたこともあり、米津玄師の地声に対して黄色い悲鳴が飛び交います。
続いてはギターを提げ、ステージを天井の低い部屋に見立てて<vivi>。
さらに<Décolleté>。以上で以って「STRAYSHEEP」の全曲が披露された格好。背後のスクリーンには性交のメタファーと思しきモノクロ映像が投影されていました。
恋愛について俗っぽい曲が続いたかと思いきや6曲目に演奏されたのは<優しい人>で、雰囲気がガラリと変わります。7曲目<Lemon>は「変身」仕様。煌めく金属質の液体がレモンを連想させる紡錘形を頭上スクリーンに描いていました。その立体が銀色に変色して<M八七>のモチーフに。
ここで2回目のMC。タイムラインを騒がせた長尺のマインスイーパー談義が展開されました。作業の合間についついやっていたものが、次第にその割合を逆転し、日常生活に支障すら来しているのだそう。そうしているうちに、締め切りに対して詰んだという米津玄師、なんと彼、その詰んだ状態のまま今日ステージに立っているのだという。そんなどうしょうもない日常について歌った曲と言う流れで<LOSER>!
(結局彼が飛ばした案件とは何だったかは未だに謎として残っています。明かされることは無いでしょうが)
往年の定番曲<LOSER>。サビ終わりのこの曲特有手の挙げ方も、フロア中が手馴れていました。踊ってくれはしなかったものの、足場に昇ってそこから見下ろすように熱唱。これはこれで絵面が悪魔的……。
余談ですが、筆者が初めて参戦した「HYPE」ツアーの1曲目も<LOSER>でした。アウトロの音が止んだ瞬間、センターステージにしゃがみ込んだ米津玄師が「イーッヒッヒ」と笑い声を上げたのを見て、彼の背に黒い翼が見えたのを思い出しました。
再びギターを構えて<Nighthawks>。正統派のロックチューンです。ラスサビで拳を突き上げた瞬間に銀テが発射。アリーナ席を引き当てたことも幸いし、ピックと違って落ち着いてほいほいほいと手に取ることができちゃいました。こういうもんなんだ……。
証拠がコチラ。
ここからのラッシュがえぐかったです。
手始めに畳みかけるように<ゴーゴー幽霊船>と<ひまわり>が。この辺りのギターロックはついつい体が動いてしまいます。踊って汗をかいたところに不穏なベースラインが轟いて<KICK BACK>!!!!
フロアから炎が噴き出し、ダンサーが怪物的に踊る踊る。会場の盛り上がりは最高潮。各サビの3回目の”努力未来~”は観客が歌う仕様になっていました。
歌詞が分かった状態で聴くのは反則急に楽しかったです。多分ゴーゴー幽霊船、アイネクライネ、Lemonに続く定番曲になる気がします。
3回目のMC。さすがの米津も「暑い!水飲ませてくれ!!!」と一言。
今回のツアーのタイトル「空想」の名前を明かしてくれました。元々寡黙だった自分がステージ上でべらべら喋れるようになったなど、自分の人生は空想と共にあった(特に、楽曲に自己を投影しない、ある種客観的な光景に基づいて作曲しているらしい)ことから、ここで一度、このタイトルを付けたかったのだそう。
この流れで、「空想」に合わせて作られた新曲<月を見ていた>へ。
頭上のスクリーンに三日月が投影され、波打つ背景に低めのピアノの和音が重厚な雰囲気を醸し出していました。<LADY>とは異なる雰囲気。サビの「月を観ていた」と言う歌詞にメッセージ性やストーリー性を感じたのでした。確かFF(ファイナルファンタジー)のために書き下ろされたんでしたよね。(※後にドラマ仕立てのMVが公開されました)
そのまま月の映像を借りて<打上花火>。次いで<灰色と青>。どちらも2人で歌うために作られた曲ですが、当然のように独唱。けれど迫力が凄い。
ここで今日1番のレア曲<かいじゅうのマーチ>。壁画を感じさせるアニメーションが投影される前で演奏。自分の前の席にいた、宇品時代を知るファンが目頭を押さえていました。
そして<馬と鹿>で満を持してセンターステージへ。この曲の暴力的なまでの素朴な迫力が好きです。
全ての照明が落ちてここで本編が終了。
アンコール。発声の文化はコロナで完全に途絶えたようで、なんとか手拍子を合わせて再登場を待ちます。
アンコール1曲目がタイトルも明かされていない新曲でした。“誰”としつこく繰り返していたのが印象的です。照明はPLACEBOのようなパステルカラー。ハンドマイクで歩き回るタイプの曲調。どこか夢見心地な浮遊感があり、歌詞とノリのアンバランスさが“空想”に似合っていました。米津はステージ奥で寝転がって歌い、バンドメンバーはこの曲だけ全員椅子に腰かけて演奏していました。
※結局この曲のタイトルは未だに明かされていません。横浜で開催されたラスト2公演では<地球儀>がこのポジションに収まっていたそうですね。
ここでバンドメンバー紹介を兼ねた長めのMCの時間。ギターの中島宏士さん(通称・中ちゃん)がマイクを片手に喋ります。一方その頃、米津さんはステージ中央に腰掛けてけん玉に興じていました。さて中ちゃん、須藤さんとFF(フラワーフェスティバル)に行ったり呉線に乗ったり広島を観光してくれたのだそう。好きなものはおむすび、いや、”むさし”のおむすびとのことで個人的には拍手喝采。しかしそのタイミングで米津が大皿に球を載せたのでそっちで余計に拍手喝采。タイミングよ。
そして中ちゃん、ギタリストの立場から各メンバーを称えていきます。そして最後に自らを称えようというところで今度は米津が球を剣山に刺しました。大喝采が中ちゃんを包むが、ここで米津に気づきます「結局玄ちゃんの独り芝居だったんかい」というね。ちなみにけん玉は広島県廿日市市が発祥の地ということで、中ちゃんが玄ちゃんにプレゼントしたのだといいます。楽屋でも遊んでいた物を持って来たとのことでした。
「もう数曲演って帰ります」との言葉と共にMCタイムが終了。
まずは<POP SONG>。間奏からラスサビにかけてセンター中央にいたダンサーがカープのキャップを被っていました。その時米津は再びセンターステージに降臨しており、誰も気づいていなかったと思われるのが残念。
そしてギターを構えて定番曲<アイネクライネ>。「そういえばまだ演ってなかったな……」と考えていた矢先なので感激。そのまま曲の色合いが近い<PLACEBO>へ直結。
最後に<LADY>で締めました。ピアノのアウトロが名残惜しく音が止むと、ステージ中央に一人残った米津玄師が、
「今日はありがとうございました」
と深々と頭を下げていました。その間30秒ほど。
それから一人背中を向けてステージの向こう側へ。
タイミング良く銀河鉄道が暗闇の向こうへ出発していき、終演。
エンドロールは<ETA>のように何かしらの楽曲を当てているわけではなく、インスト音源でした。「変身」と比べて総じてコンパクトな演出に収まっていたのが「空想」の特徴だったように思います。だからこそ映像じゃなくて音源として欲しくなるわけで。
母と妹と夕食を取った後、一人で下宿先に帰る道すがら、片付けが進む会場に寄ってみました。裏口には、あの足場を載せるのだろう、大型トラックが4~5台。あれだけのセットを組んだことを思い返して、一人のスターがここまでのステージを創り上げたことへの事実に圧倒されたのでした。
総じて今回が1番良かったかも。ライブの音源が本当に欲しいです。キーボードとベースのアレンジが好きすぎました。
私事ですが就職活動が終わり、来春からは東京で働くことになりました。次回のツアーは横浜や東京、埼玉での参戦を視野に入れることもできそうです。
さて、私が次に参戦するのが確定しているのは、
・ヒトリエ HITORI-ESCAPE TOUR 2023 広島公演
です。欲を言えば京都磔磔にも行きたい。後はウマ娘の5thツアーも気になってるんですよね。
次の記事も楽しみにしていただけると幸いです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。